「君がiPhoneを話題にするとはね」
「笑える場合は別だ」
話題その1 MEN'S NON-NO §
「MEN'S NON-NO?」
「表紙が木村拓哉とルフィだったので買っただけだ」
「それで?」
「意外で面白かったのが、iPhone関連グッズのページ」
「というと?」
「Apple製品の最大の欠陥はデザインを売り物にしているということ。デザインが個性的で、好きな人にはたまらないが、嫌いな人には極端な憎悪を引き起こす。つまり、共通プラットフォームには最初からなり得ない2番手戦略でしかないんだよ」
「永遠にトップに立てないと割り切った戦略ってことだね」
「では、Appleのデザインは絶対に受け入れられないが、どうしてもiPhoneを持つ羽目になったらどうすればいいのか」
「どうするんだい?」
「別の自己主張のデザインでiPhoneを覆ってしまえばいいんだよ」
「なるほど」
「これまでずっと、Apple製品を買うユーザーはあの白いのっぺりしたデザインが大好きな人だと思っていたがそれは思い違いであったらしい」
「そうか。そのデザイン性を否定して差し替える製品がけっこうなウェイトでメジャーファッション雑誌で紹介されるのだものね」
「位置づけとして、ビートルズと同じだと良く分かった」
「というと?」
「ビートルズも分からない奴は人間じゃ無いという空気の世界があって、そこではビートルズを承認するしか無いのだ。音楽的に趣味じゃ無くてもね」
「そうか。同じようにApple製品は欲しくなくても買うべきものという世界があるんだね」
「でもデザインは気に入らないから独創的に変えちゃうわけだ」
「ささやかな反抗だね」
話題その2 iPhoneで写真を撮ると、写真が上手くなる §
「えっ? 本当にiPhoneで写真を撮ると、写真が上手くなるの?」
「根拠を引用する」
レンズが35mm固定焦点なので、被写体に対して寄ったり引いたりして撮影したりといった頭を使って写真を撮ることが自然に身に付くようになり、良いロケーション、良いアングル、良いシチュエーションに出会えるチャンスが増え、iPhoneで難しいと感じる部分は、膨大にあるiPhoneアプリを使って補うことでカバーすることが出来ると説明していました。
「一応、根拠はあるんだね」
「でもさ。実はよく読むと『レンズが固定焦点』と『膨大なアプリ』が理由なのであって、iPhoneに限定される理由は無いんだよ」
「ええっ?」
「っていうかさ。膨大なアプリというけど、単にアプリの数だけならもっと多い世界はいくらでもある」
「うん」
「更に言えば、レンズが固定焦点ってのは実は10年ぐらい前においらが盛んにこだわっていた特徴そのものだ」
「ええっ?」
「だから、昔使っていたSONY DSC-U20は固定焦点だ。その時点で、写真に詳しい人も固定焦点の方が写真が上手くなると言っていたし、こんな話は目新しくも何ともない。しかも間違っている」
「えっ? 間違いなの?」
「そうだ。今はもう強力なズーム機能を持ったデジカメの方がいいと思っている」
「どうして?」
「立ち入ることができない場所が多いと、『被写体に対して寄ったり引いたりして』という行動が取れず、実質的に必要な情報を記録できなくなってしまうからだ」
「それは重要なことなの?」
「そうだ。撮れなかった写真の価値はゼロだ。どんなに下手でも歪んでいても傾いていても、撮れたら価値はゼロより大きい」
全般的な感想 §
「ズームに頼らず足で稼げ」
「えっ?」
「確かに一理ある」
「そうなの?」
「そうだ。同じ値段なら全ての倍率で80点の絵が撮れるカメラより、特定倍率で100点の絵が撮れるカメラの方がいい写真が撮れる」
「そうか」
「でもさ。いい絵を撮る、という観点を離れて『この情報を記録したい』と思うと破綻する」
「現実には立ち入れない場所や障害物が山ほどあるからだね」
「プロならいちいち許可を取って入れない場所に入って撮るのかもしれないが、誰でもできることじゃないしね」
「ははは」
「しかし、驚いたぞ」
「何が?」
「昔おいらがこだわった観点と全く同じ話を今頃読まされるなんてな」
「わははは」
「予想もしなかった珍事だ」
「iPhoneより、そこがポイントか」
「しかも、固定焦点なんておいらがこだわった時点でなんら目新しくない話だったんだぞ」
「目の付け所が新しかったという自慢話じゃないの?」
「とんでもない。自慢にもならない古い話が蒸し返されて驚いたんだよ」
「そうか」
「あ、ちなみに今持ち歩いてるAdvanced/W-ZERO3 [es]のカメラも固定焦点だからね」
「足で稼ぐ撮影には昔から今も慣れてるというわけだね」
「慣れているし、弱点にも多く遭遇していてこれじゃ十分ではないと身をもって分かっている」